再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
結婚式も無事に終わり、紗良は誠一郎に抱っこされていた。

「せーちろー」

「はいはい」

みんなと仲良くなってくれてとても嬉しかった。
時々話す面白い言葉にみんなは笑ってくれ、紗良も大満足だったのではないか。
結局斗真はたびたび声をかけられ、中座することもありゆっくりみんなと話すことはできなかった。
けれど私は久しぶりに懐かしいメンバーに会え、とても楽しい時間を過ごすことができた。
幸せそうな京介と亜依の姿に涙が止まらなくなったが、ただただ幸せになって欲しいと祈った。

「結婚式に来たのに学会のように挨拶ばかりだったな」

頭をかきながら話す斗真は、ようやく解放され疲れ切っていた。

「お疲れ様」

「紗良ちゃん」

斗真が手を伸ばすが紗良は誠一郎にくっついたままだった。
多分斗真に話しかけても相手にしてくれなかったから紗良なりに拗ねたのだろう。
誠一郎にぎゅっと抱きついていた。
斗真は傷ついたようにしょんぼりしていたら礼央が手を伸ばすと紗良は彼に手を出していた。
その姿を見てまたガッカリしていた。
みんなはニヤニヤとしていたが、斗真は思った以上にショックを受けたようだった。

「クソっ。何でいつも邪魔が入るんだよ」

小さいが斗真の声が聞こえてきた。
その声は本気で悔しそうだった。
斗真にもこんな一面があるのだとついクスッと笑ってしまった。

「れおはいちごすき?」

「好きだよ」

「さらもすきなの」

「一緒だね」

そんな楽しげな会話を斗真は悔しそうな顔で見つめていた。

「さぁ、そろそろ帰ろうか」

私が声をかけると紗良は私の元に戻ってきた。
名残惜しいがそろそろお昼寝をさせないと紗良が持たないだろう。

「みんな、今日は会えて嬉しかった。また会おうね」

すると紗良も、

「たいち、れお、せーちろー、またね! バイバイ」

と手を振っていた。
私は紗良の手を引くと未来が反対の手を引き、ホテルへと戻って行った。
チラッと見た斗真はまだどこか寂しげな表情を浮かべていた。
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