再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています

大きなホールに集められ、グループごとにここでオリエンテーションを受けることになった。

「Cグループはこっち」

その声に引かれ、私と未来はテーブルへと向かった。
私たち以外に女子１人、あとはみんな男子だった。
自己紹介するように教員から声がかけられ、私たちは着席するとお互い探り合うように誰から自己紹介をしようかと目を向け合っていた。
すると1人の男子が笑顔で仕切りはじめた。

「はい！　俺は薬学部の野村太一(のむらたいち)です。よろしくお願いします。趣味はテニス。それじゃ、ここから時計回りでいい？」

良かった。彼が口火を切ってくれたおかげでみんなの流れができた。
笑顔が爽やかな彼はテニスも似合いそうだと思わず頷いた。

「同じく薬学部の伊澤亜依(いざわあい)です。島根県出身です」

「医療検査学部、浅川礼央(あさかわれお)です。趣味は食べ歩きかな。よろしく」

「医療工学部、田中誠一郎(たなかせいいちろう)です。うどん県、香川から来ました」

うどん県！　ちょっとそそられる話題に私は耳を傾けると先ほどの食べ歩きが趣味と言っていた浅川くんも食い入るように見つめていた。

「医学部の竹中斗真(たけなかとうま)です。俺も食べるのが好きなので浅川くんよろしくな」

人懐っこい顔で笑いかける彼の顔にすっと惹かれた。

「同じく医学部の長谷川京介(はせがわきょうすけ)です。俺食べるの好きだよ。特にラーメンが好きだな。そのせいか今成長中なんだよ」

そんなふうに見えないお腹をさすりながら笑いを取ろうとする彼にも好印象を受けた。

「看護学部の武藤優里です。私も食べるの嫌いじゃないです。よろしくお願いします」

「同じく看護学部の松本未来です。山形出身です」

「芋煮だね？」

浅川くんが間髪入れずに突っ込んできた。未来は笑いながら、

「そうだよ。他にも色々あるけど山形って言うと芋煮って言われるんだよね」

そこから田中くんのうどんの話を聞いたり、食べ物の話から和気あいあいとしてきた。
仲良くできそうなメンバーでホッとした。
しばらくするとオリエンテーションが始まり、チーム医療についての概要や今後の進め方について説明を受けた。
今日はこれで終わるようで、どのグループも和気あいあいと話が弾んでいる。
私たちのグループも先ほどの続きで話が弾む。