再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
またぎゅっときつく抱きしめられ、私も彼の背中に手を回した。
頭の上からは斗真の切ない声が聞こえてくる。

「優里……。俺、本当に優里が好きなんだ。絶対に幸せにするから!」

「私も斗真が好き。あの頃から変わらず好き。一緒に幸せになろう」

私も精一杯の気持ちを口にした。
気がつくと彼は私の顔に近づいてきて唇が重なった。

あ……。

久しぶりのキスはお互いの気持ちが流れ込むように心が満たされていった。

「優里、これ受け取って欲しい」

右のポケットから出した小箱はジュエリーケースだった。
あの頃もらった指輪よりもっともっと輝いていた。

「優里をいつか守れるように頑張ってきた証なんだ」

「うん」

彼はさっと私の左手を持つと指にはめてくれた。
そしてその指輪に口付けをしていた。

「外せないようにまじないかけておいたから」
 
いたずらっ子のような顔を見て、私もようやく笑いが出てきた。

「こんな素敵な指輪は仕事じゃつけられないよ。おまじないは効かないかもしれない」

「じゃ、永遠につけておけるものを買いに行こうな」

そう言うとまた唇にキスを落としてきた。

あぁ、彼の胸の中にいるのが信じられないが、なんて懐かしい優しい気持ちになれるのだろう。
渇いたことにも気が付かなかったが心がどんどんと満たされていくのを感じた。

























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