貧乏×御曹司は毎日が驚きで
【運命】
私の家族はお父さんと弟、そして私の3人で暮らしている。
うちは貧乏で生活していくのがやっとやっと。
だけど、弟の治療費には沢山のお金が必要なわけで。
お金を稼ぐために夜遅くまで必死に働く父親の姿を見兼ねて私もお金を稼ぐことを決意した。
そう、あの日母親がこの家を出て行ってからは。
「よ〜っし!!今日から頑張っちゃうもんねっ!!」
自分に気合を入れるように言い聞かせると玄関の全身鏡で身だしなみの確認をしてから家を出た。
しばらくの間、寮生活が続く。
この家ともお別れか...なんて少し寂しさを抱えながら。
七海学園は世界一の結婚を目指して、超正確なマッチングシステム“デステニー”を使って選ばれたパートナーと2人で寮生活を行う特別な学校。
卒業と同時に入籍という驚きの制度に加えて、大IT企業の社長の座も獲得できる。だから恋愛だけじゃなく勤勉にも励まなければならない。
高校生の私が大きなお金を手に入れるなんて無理だと思っていたけれど、別名、一攫千金婚校と言われる七海学園の存在を知ってから毎日がウキウキだった。
ようやくお父さんの力になれる、弟の病気を治してあげられるんだと。
待ちに待った4月、愛や運命のパートナーを求めて入学してくる子が多い中、お金が目的だなんてこんなこと知られたら相手はガッカリするよね.....
そもそも弟と幼なじみの奏多くん以外の男の子とまともに会話すらしたことないじゃん(泣)と考えれば考えるほど不安で頭が痛くなってきた
実は幼なじみの奏多くんもまさかの偶然、同じ七海学園の結婚科に入学する予定
でも、奏多くんは別に貧乏じゃないし小さい頃から結構モテる方なんだよね.....
ちょっと疑問に思ったけどなんでも気軽に話せる奏多くんが一緒なのは心強い
どうかパートナーも私と同じでお金目当てとか恋愛に興味がない人でありますように...!!
そんなわけ絶対ないよね...
と思って歩いていると大きなベルがついた一見結婚式場にも見える七海学園が見えてきた。
学園が近づくにつれて同じ制服を着ている生徒らしき人たちがちらほらと目につく。
少し遠くてはっきりは見えないけど前を歩いている彼も七海学園の制服を着ているようだ。
小走りすれば簡単に追いつけそうな距離にいる彼に、勇気を出して話しかけてみようかなと思った瞬間だった。
ドンッ.....!!
向かいを歩いていた近くの女子高校の派手な女の子3人組と前を歩いていた七海学園の生徒がぶつかって、彼は誰から見ても少し恥ずかしいくらい派手に尻もちをついておどおどとしている。
「ねぇ君どこ見て歩いてんのぉ??」
「もしかしてウチらにわざとぶつかったんじゃないよねぇ?」
くるくるに綺麗に巻かれた金髪の髪とギリギリまで短くしたスカートをなびかせながら綺麗な顔立ちとは反対に汚い言葉を男の子に浴びせていた。
「てかこんな冴えない男ほっとけばよくねぇ?時間の無駄じゃん~笑」
先ほどまで何も言わずに横で見ていた女の子が手鏡で前髪を確認し、いじりながらどうでも良さそうにそう言った。
「こんなの最初から相手にするワケないじゃん?まだ謝罪としてウチら何もしてもらってないけど、何してくれる??」
遠くからでも睨みつけられているのがわかってこのまま一歩ずつ進んでいくと自然にその場に近づいてしまうことが怖くなった。
長いつけまつげが瞬きをするたびに、ばざばと音をたてる。
私も彼と同様に最初は困惑していたものの
でもっ..でもっ...あの男の子を助けなきゃ..!
困っている人を見て見ぬふりするだなんて私は人間として最低だよね.....と気持ちを切り替えた。
先ほどまで恐怖で震えていた足は嘘のように、前へ前へと迷わずそこまで駆けつけた。頭で考えるより行動する方が先なのは昔からの悪い癖である。
私はおびえる彼を庇うように間に入って両手を横に広げると
「この人わざとぶつかった訳じゃないですよっ!私は見てましたから...そもそもぶつかってきたのはあなた達の方じゃないですか?」
よっし....言った....私は言い切ったぞ!この派手な女の子達を前にしてもにひるまずに!!心の中で静かなガッツポーズをした。
「こんな男かばうとか無いゎ~笑」
「じゃあ代わりにアンタが慰謝料払ってくれるぅ?」
派手な女の子達はギラギラとした目つきでどうやらターゲットを彼から私に変えたようだ。
私は見た目が地味で残念な女子だからか、完全に舐められているのだろう。
自分達からぶつかっておいてこの言いよう
私は呆れて返す言葉もない
「たてる....?」
私は彼に手を差し出すと微かに聞こえるような小さな声でうん...と呟いて手を握り返してきた
私は手が離れないようにギュッと強く握ると「走るよ!」私はニコッと笑うと彼の手をそのまま強引に引っ張りながら全力で走った
逃げるな〜!というギャルさんのお怒りを背にして
息が少し苦しくなってきたが私たちは走り続けた
ぷっはぁぁあ....!!
こっ...ここまでくれば大丈夫だからっ...
激しく息が上がっていて苦しい
少し離れた所まで走ってきたから、もう彼女達が追いつくこともないだろう
ようやく呼吸を整えて落ち着きを取り戻すと、ここにくるまでの間ずっと手を握っていたことに急に気がついて恥ずかしくなった
急にかぁぁぁぁっと顔が赤くなって体温が上昇していく
ぱっと手を離しては「ごっ...ごめん!」
と彼に謝ったが無反応
そういえばさっきから1回もまだ会話していない
伺うように彼の顔を見ると
明らかに長すぎる重たい前髪の上にスクエア型のメガネ
表情が全く掴めないし...
これはさすがに何も見えてないんじゃ...
ちょっと不思議に思ったけど髪型は人それぞれ、自分の好きな様にするべきだよねっ!と心の中で思った。
なんとなく気まずくて私は
「じゃっ..じゃあ!!」
と手を振りながら彼に別れを告げ、小走りでその場を去った
まさか彼が「あの優しい子が俺の運命のパートナーだったらいいのに....」
と呟いていたとも知らずに。
私の家族はお父さんと弟、そして私の3人で暮らしている。
うちは貧乏で生活していくのがやっとやっと。
だけど、弟の治療費には沢山のお金が必要なわけで。
お金を稼ぐために夜遅くまで必死に働く父親の姿を見兼ねて私もお金を稼ぐことを決意した。
そう、あの日母親がこの家を出て行ってからは。
「よ〜っし!!今日から頑張っちゃうもんねっ!!」
自分に気合を入れるように言い聞かせると玄関の全身鏡で身だしなみの確認をしてから家を出た。
しばらくの間、寮生活が続く。
この家ともお別れか...なんて少し寂しさを抱えながら。
七海学園は世界一の結婚を目指して、超正確なマッチングシステム“デステニー”を使って選ばれたパートナーと2人で寮生活を行う特別な学校。
卒業と同時に入籍という驚きの制度に加えて、大IT企業の社長の座も獲得できる。だから恋愛だけじゃなく勤勉にも励まなければならない。
高校生の私が大きなお金を手に入れるなんて無理だと思っていたけれど、別名、一攫千金婚校と言われる七海学園の存在を知ってから毎日がウキウキだった。
ようやくお父さんの力になれる、弟の病気を治してあげられるんだと。
待ちに待った4月、愛や運命のパートナーを求めて入学してくる子が多い中、お金が目的だなんてこんなこと知られたら相手はガッカリするよね.....
そもそも弟と幼なじみの奏多くん以外の男の子とまともに会話すらしたことないじゃん(泣)と考えれば考えるほど不安で頭が痛くなってきた
実は幼なじみの奏多くんもまさかの偶然、同じ七海学園の結婚科に入学する予定
でも、奏多くんは別に貧乏じゃないし小さい頃から結構モテる方なんだよね.....
ちょっと疑問に思ったけどなんでも気軽に話せる奏多くんが一緒なのは心強い
どうかパートナーも私と同じでお金目当てとか恋愛に興味がない人でありますように...!!
そんなわけ絶対ないよね...
と思って歩いていると大きなベルがついた一見結婚式場にも見える七海学園が見えてきた。
学園が近づくにつれて同じ制服を着ている生徒らしき人たちがちらほらと目につく。
少し遠くてはっきりは見えないけど前を歩いている彼も七海学園の制服を着ているようだ。
小走りすれば簡単に追いつけそうな距離にいる彼に、勇気を出して話しかけてみようかなと思った瞬間だった。
ドンッ.....!!
向かいを歩いていた近くの女子高校の派手な女の子3人組と前を歩いていた七海学園の生徒がぶつかって、彼は誰から見ても少し恥ずかしいくらい派手に尻もちをついておどおどとしている。
「ねぇ君どこ見て歩いてんのぉ??」
「もしかしてウチらにわざとぶつかったんじゃないよねぇ?」
くるくるに綺麗に巻かれた金髪の髪とギリギリまで短くしたスカートをなびかせながら綺麗な顔立ちとは反対に汚い言葉を男の子に浴びせていた。
「てかこんな冴えない男ほっとけばよくねぇ?時間の無駄じゃん~笑」
先ほどまで何も言わずに横で見ていた女の子が手鏡で前髪を確認し、いじりながらどうでも良さそうにそう言った。
「こんなの最初から相手にするワケないじゃん?まだ謝罪としてウチら何もしてもらってないけど、何してくれる??」
遠くからでも睨みつけられているのがわかってこのまま一歩ずつ進んでいくと自然にその場に近づいてしまうことが怖くなった。
長いつけまつげが瞬きをするたびに、ばざばと音をたてる。
私も彼と同様に最初は困惑していたものの
でもっ..でもっ...あの男の子を助けなきゃ..!
困っている人を見て見ぬふりするだなんて私は人間として最低だよね.....と気持ちを切り替えた。
先ほどまで恐怖で震えていた足は嘘のように、前へ前へと迷わずそこまで駆けつけた。頭で考えるより行動する方が先なのは昔からの悪い癖である。
私はおびえる彼を庇うように間に入って両手を横に広げると
「この人わざとぶつかった訳じゃないですよっ!私は見てましたから...そもそもぶつかってきたのはあなた達の方じゃないですか?」
よっし....言った....私は言い切ったぞ!この派手な女の子達を前にしてもにひるまずに!!心の中で静かなガッツポーズをした。
「こんな男かばうとか無いゎ~笑」
「じゃあ代わりにアンタが慰謝料払ってくれるぅ?」
派手な女の子達はギラギラとした目つきでどうやらターゲットを彼から私に変えたようだ。
私は見た目が地味で残念な女子だからか、完全に舐められているのだろう。
自分達からぶつかっておいてこの言いよう
私は呆れて返す言葉もない
「たてる....?」
私は彼に手を差し出すと微かに聞こえるような小さな声でうん...と呟いて手を握り返してきた
私は手が離れないようにギュッと強く握ると「走るよ!」私はニコッと笑うと彼の手をそのまま強引に引っ張りながら全力で走った
逃げるな〜!というギャルさんのお怒りを背にして
息が少し苦しくなってきたが私たちは走り続けた
ぷっはぁぁあ....!!
こっ...ここまでくれば大丈夫だからっ...
激しく息が上がっていて苦しい
少し離れた所まで走ってきたから、もう彼女達が追いつくこともないだろう
ようやく呼吸を整えて落ち着きを取り戻すと、ここにくるまでの間ずっと手を握っていたことに急に気がついて恥ずかしくなった
急にかぁぁぁぁっと顔が赤くなって体温が上昇していく
ぱっと手を離しては「ごっ...ごめん!」
と彼に謝ったが無反応
そういえばさっきから1回もまだ会話していない
伺うように彼の顔を見ると
明らかに長すぎる重たい前髪の上にスクエア型のメガネ
表情が全く掴めないし...
これはさすがに何も見えてないんじゃ...
ちょっと不思議に思ったけど髪型は人それぞれ、自分の好きな様にするべきだよねっ!と心の中で思った。
なんとなく気まずくて私は
「じゃっ..じゃあ!!」
と手を振りながら彼に別れを告げ、小走りでその場を去った
まさか彼が「あの優しい子が俺の運命のパートナーだったらいいのに....」
と呟いていたとも知らずに。
< 1 / 12 >