夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
(あれ? だけど、団長は独身のはず……。奥様って誰?)
「申し遅れました。私は、奥様付きの侍女、イルメラと申します」
イルメラは深く頭を下げる。だが、肝心の奥様は見当たらない。むしろ、その奥様付きの侍女が、シャーリーの世話をしようとしていることに疑問すら感じる。
「シャーリー様は、ハーデン家の当主であるランスロット様とご結婚をされておりますので、奥様とはシャーリー様のことになります」
シャーリーはイルメラの言葉を聞いていたけれど、内容は頭に入ってこない。
「あの、イルメラさん……」
「どうか、イルメラとお呼びください」
そう言われても、シャーリーには抵抗がある。何しろ、相手はシャーリーが知らない女性なのだ。困ったように目尻を下げると、イルメラも困ったような表情をする。
「奥様……。やはり、覚えていらっしゃらないのですか?」
覚えていないも何も、この部屋にいる人物は誰一人知らない。
「はい……。イルメラさんとは初対面だと思いますが。それから、そちらの……」
「セバスです」
セバスが頭を下げた。
「奥様は、男性が苦手でいらっしゃいます。あのセバスでさえ、奥様と話をするには、三歩ほど離れる必要があります。奥様が触れることができる男性は、旦那様のみなのです」
「申し遅れました。私は、奥様付きの侍女、イルメラと申します」
イルメラは深く頭を下げる。だが、肝心の奥様は見当たらない。むしろ、その奥様付きの侍女が、シャーリーの世話をしようとしていることに疑問すら感じる。
「シャーリー様は、ハーデン家の当主であるランスロット様とご結婚をされておりますので、奥様とはシャーリー様のことになります」
シャーリーはイルメラの言葉を聞いていたけれど、内容は頭に入ってこない。
「あの、イルメラさん……」
「どうか、イルメラとお呼びください」
そう言われても、シャーリーには抵抗がある。何しろ、相手はシャーリーが知らない女性なのだ。困ったように目尻を下げると、イルメラも困ったような表情をする。
「奥様……。やはり、覚えていらっしゃらないのですか?」
覚えていないも何も、この部屋にいる人物は誰一人知らない。
「はい……。イルメラさんとは初対面だと思いますが。それから、そちらの……」
「セバスです」
セバスが頭を下げた。
「奥様は、男性が苦手でいらっしゃいます。あのセバスでさえ、奥様と話をするには、三歩ほど離れる必要があります。奥様が触れることができる男性は、旦那様のみなのです」