夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
「どんな、罠?」
「レイモンが、シャーリーの『忘却の魔法』を解くと、わざと言った。相手にとっては、シャーリーに記憶を取り戻され、不正の内容を暴かれたら困るわけだろう? だから、早く動くと思ったんだ。まさか、それが今日の今日とは思わなかったが。念のため、ブラムたちを動かしておいた」
「そう……」
「もしかして、黙っていたことを、怒っているのか?」
「ううん。怒ってはいない。それに、記憶が戻ったのも、あの男が短剣を持ってランスに向かって走って来るのを見たときだから……。その『忘却の魔法』というのは、解けたのかしら?」
「それは、レイモンにみてもらうしかないが」
だが、シャーリーには心に引っかかることがある。
「今回のあの男は、私を狙っていたの? あなたを狙っていたの?」
「恐らく君だろう。俺の方が手前にいたから、俺の方を狙っているように見えたのかもしれない。だから、君がまた俺とあいつの間に入ろうとしたときは、焦ったよ」
「ごめんなさい。あなたに怪我をさせてしまった」
「いや。俺は君を守れなかったことをずっと後悔していた。だから、今回は君を守り通すことができて、よかったと思っている。こんな怪我、君を守るためならば痛くもかゆくもない」
「ランス。記憶を失っている間も、あなたは私に優しかったわ」
「覚えているのか?」
ええ、とシャーリーは頷いた。
「レイモンが、シャーリーの『忘却の魔法』を解くと、わざと言った。相手にとっては、シャーリーに記憶を取り戻され、不正の内容を暴かれたら困るわけだろう? だから、早く動くと思ったんだ。まさか、それが今日の今日とは思わなかったが。念のため、ブラムたちを動かしておいた」
「そう……」
「もしかして、黙っていたことを、怒っているのか?」
「ううん。怒ってはいない。それに、記憶が戻ったのも、あの男が短剣を持ってランスに向かって走って来るのを見たときだから……。その『忘却の魔法』というのは、解けたのかしら?」
「それは、レイモンにみてもらうしかないが」
だが、シャーリーには心に引っかかることがある。
「今回のあの男は、私を狙っていたの? あなたを狙っていたの?」
「恐らく君だろう。俺の方が手前にいたから、俺の方を狙っているように見えたのかもしれない。だから、君がまた俺とあいつの間に入ろうとしたときは、焦ったよ」
「ごめんなさい。あなたに怪我をさせてしまった」
「いや。俺は君を守れなかったことをずっと後悔していた。だから、今回は君を守り通すことができて、よかったと思っている。こんな怪我、君を守るためならば痛くもかゆくもない」
「ランス。記憶を失っている間も、あなたは私に優しかったわ」
「覚えているのか?」
ええ、とシャーリーは頷いた。