夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
婚礼の儀のあのとき。そして目を覚ましたときの戸惑いから、今まで。全ての記憶がある。そこに、失った二年分の記憶がぽっと沸いてきたような感じなのだ。
「君が記録してくれていたあの帳面。あれによって、ジョシュアもブラムも動いている。魔導士団の不正は、すぐに明るみになるはずだ。それに、どうやら危険な薬を作ろうとしていたらしい」
「危険な薬?」
「惚れ薬。ようは、相手を自分の思いのままに操れるようになる薬だな。その薬の被害者が出る前に、さっさと犯人を捕まえる。それもこれもシャーリーのおかげだ」
「そうね」
だけど、シャーリーの心は晴れなかった。何かがまだ引っかかっている。
大聖堂で短刀を振り上げた男は、本当にシャーリーを狙っていたのだろうか。シャーリーからは、ランスロットに切先が向いていたように見えたのだ。
では、今回の男は。ランスロットともシャーリーとも、どちらともわからない。ただ、こちらに向かって短刀を振り回しながら突進してきたからだ。
「ランス。顔色が悪いわ。疲れているんじゃないの?」
シャーリーがそう彼に声をかけた途端、ランスロットの身体は彼女の方に倒れてきた。
「ランス、ランス……。セバス、イルメラ。誰か」
倒れたランスロットの身体を抱きかかえながら、シャーリーは叫び続けた。
「君が記録してくれていたあの帳面。あれによって、ジョシュアもブラムも動いている。魔導士団の不正は、すぐに明るみになるはずだ。それに、どうやら危険な薬を作ろうとしていたらしい」
「危険な薬?」
「惚れ薬。ようは、相手を自分の思いのままに操れるようになる薬だな。その薬の被害者が出る前に、さっさと犯人を捕まえる。それもこれもシャーリーのおかげだ」
「そうね」
だけど、シャーリーの心は晴れなかった。何かがまだ引っかかっている。
大聖堂で短刀を振り上げた男は、本当にシャーリーを狙っていたのだろうか。シャーリーからは、ランスロットに切先が向いていたように見えたのだ。
では、今回の男は。ランスロットともシャーリーとも、どちらともわからない。ただ、こちらに向かって短刀を振り回しながら突進してきたからだ。
「ランス。顔色が悪いわ。疲れているんじゃないの?」
シャーリーがそう彼に声をかけた途端、ランスロットの身体は彼女の方に倒れてきた。
「ランス、ランス……。セバス、イルメラ。誰か」
倒れたランスロットの身体を抱きかかえながら、シャーリーは叫び続けた。