夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
彼が一歩近づくたびに、シャーリーは身体を強張らせる。
「シャーリーさん。そんなに緊張をしないで。僕は、あなたと一緒にお茶菓子を食べたいだけなんだ」
ずり落ちた毛布を拾い上げたシャーリーは、それを胸元まで手繰り寄せる。こんな毛布が、彼との遮蔽物になるわけでもないのに、それでも無いよりはましであると、無意識に思っているのだ。
「シャーリーさん。僕を拒まないで。あなたはいつも、僕に温かな言葉をかけてくれていたでしょう? あの言葉に、僕がどれだけ救われたか、わかりますか?」
ふるふると、シャーリーは首を横に振る。
(わからない……。なんで、私はここにいるの?)
「まさか、シャーリーさんがあんな男と結婚するとは思いませんでしたよ」
毛布を握る手に、思わず力が入ってしまう。
「本当に邪魔な男ですよね。僕とあなたの仲を引き裂こうとしている」
(違う)
シャーリーは首を振ることしかできない。言葉は、全て喉元に引っかかり、口から出てくることはない。
「あなたにはあの男を忘れてもらうつもりだったのに。記憶が無くても、あの男と一緒にいるとは、想定外でした」
ダリルはまた一歩、一歩とシャーリーとの間を詰めてくる。
「シャーリーさん。僕が怖いですか? あなたが男性のことを苦手であることは知っています。だから、僕を受け入れてくれるよう、あなたのために、薬を作りました。これを飲めば、あなたは僕を好きになる」
「シャーリーさん。そんなに緊張をしないで。僕は、あなたと一緒にお茶菓子を食べたいだけなんだ」
ずり落ちた毛布を拾い上げたシャーリーは、それを胸元まで手繰り寄せる。こんな毛布が、彼との遮蔽物になるわけでもないのに、それでも無いよりはましであると、無意識に思っているのだ。
「シャーリーさん。僕を拒まないで。あなたはいつも、僕に温かな言葉をかけてくれていたでしょう? あの言葉に、僕がどれだけ救われたか、わかりますか?」
ふるふると、シャーリーは首を横に振る。
(わからない……。なんで、私はここにいるの?)
「まさか、シャーリーさんがあんな男と結婚するとは思いませんでしたよ」
毛布を握る手に、思わず力が入ってしまう。
「本当に邪魔な男ですよね。僕とあなたの仲を引き裂こうとしている」
(違う)
シャーリーは首を振ることしかできない。言葉は、全て喉元に引っかかり、口から出てくることはない。
「あなたにはあの男を忘れてもらうつもりだったのに。記憶が無くても、あの男と一緒にいるとは、想定外でした」
ダリルはまた一歩、一歩とシャーリーとの間を詰めてくる。
「シャーリーさん。僕が怖いですか? あなたが男性のことを苦手であることは知っています。だから、僕を受け入れてくれるよう、あなたのために、薬を作りました。これを飲めば、あなたは僕を好きになる」