夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
「助けて……」
「シャーリーさん。無駄な抵抗はやめましょう。助けを呼んだところで誰もきませんよ。ここは僕が所有する屋敷ですから。あなたの声は誰にも届かない」
彼は首を傾げ、妖艶に微笑む。
「助けて、ランス」
ダリルは舌打ちをする。
「なぜ、あの男の名を呼ぶのです?」
「違う。私が結婚したのは、私の意思。私がランスといることを望んだ。私が。私は、彼を愛しているから」
彼は、ひくりと唇を歪ませた。
「どうして? まさか、忘却の魔法が解けた? レイモン団長の仕業? いや。もしかして、自力で? そんなバカな……」
動揺したダリルは、シャーリーの口を無理矢理こじ開けて、小瓶を傾けようとしている。
シャーリーは、口を押さえている彼の指をギリリと噛んだ。
「いてっ。くっ、くそ。シャーリーさん。そうやって抵抗ばかりしていると、僕だって乱暴な手を使わなければならなくなります」
再びダリルの手が伸びてくる。だが、彼の手はシャーリーの胸元を狙っていた。
ふと、蘇るあのときの記憶。
襲われた馬車。シャーリーを守ろうとして、命を奪われた母親。そして、彼女の身体中を這いまわった複数の男の手。
「シャーリーさん。無駄な抵抗はやめましょう。助けを呼んだところで誰もきませんよ。ここは僕が所有する屋敷ですから。あなたの声は誰にも届かない」
彼は首を傾げ、妖艶に微笑む。
「助けて、ランス」
ダリルは舌打ちをする。
「なぜ、あの男の名を呼ぶのです?」
「違う。私が結婚したのは、私の意思。私がランスといることを望んだ。私が。私は、彼を愛しているから」
彼は、ひくりと唇を歪ませた。
「どうして? まさか、忘却の魔法が解けた? レイモン団長の仕業? いや。もしかして、自力で? そんなバカな……」
動揺したダリルは、シャーリーの口を無理矢理こじ開けて、小瓶を傾けようとしている。
シャーリーは、口を押さえている彼の指をギリリと噛んだ。
「いてっ。くっ、くそ。シャーリーさん。そうやって抵抗ばかりしていると、僕だって乱暴な手を使わなければならなくなります」
再びダリルの手が伸びてくる。だが、彼の手はシャーリーの胸元を狙っていた。
ふと、蘇るあのときの記憶。
襲われた馬車。シャーリーを守ろうとして、命を奪われた母親。そして、彼女の身体中を這いまわった複数の男の手。