夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
それまでシャーリーはただの事務官だった。
ランスロットは専属の事務官を希望していたが、彼についてくれるような事務官は惜しくも現れなかった。ちょっとだけいいお給金を提示しているにも関わらず、誰一人と現れなかった。
それはランスロットの見目と噂が大きく影響していた。
『燃える赤獅子』という二つ名の通り身体は大きく、獣を思わせるような低い声が、彼から人を遠ざけていた。
騎士団の団長を務めるには、威厳に満ち溢れている姿だろう。
だが、そんな彼と仲良くしたいと思うような人物は、騎士団の中にしかおらず、特に女性にとっては、個人的に繋がりを持ってもメリットが見いだせないようだった。
そんな中、出会ったのがシャーリーである。
シャーリーはコルビー子爵家の令嬢であったが、彼女と出会ったときのコルビー子爵家は裕福ではなかった。言い換えれば貧乏である。
彼女には弟が二人いるため、彼らの学費を稼ぐために働きに出たと言っていた。
そして何より、シャーリーは計算が得意で、特に経費関係の書類が分かりやすかった。何しろランスロットは、そういった細かい数値を合わせることが大の苦手だからだ。
彼女が来てからというもの、毎月の予算は通りやすくなったし、経費に至っても、部下たちによる不透明な部分も明るみになり、無駄な費用を抑えることができた。
ランスロットは専属の事務官を希望していたが、彼についてくれるような事務官は惜しくも現れなかった。ちょっとだけいいお給金を提示しているにも関わらず、誰一人と現れなかった。
それはランスロットの見目と噂が大きく影響していた。
『燃える赤獅子』という二つ名の通り身体は大きく、獣を思わせるような低い声が、彼から人を遠ざけていた。
騎士団の団長を務めるには、威厳に満ち溢れている姿だろう。
だが、そんな彼と仲良くしたいと思うような人物は、騎士団の中にしかおらず、特に女性にとっては、個人的に繋がりを持ってもメリットが見いだせないようだった。
そんな中、出会ったのがシャーリーである。
シャーリーはコルビー子爵家の令嬢であったが、彼女と出会ったときのコルビー子爵家は裕福ではなかった。言い換えれば貧乏である。
彼女には弟が二人いるため、彼らの学費を稼ぐために働きに出たと言っていた。
そして何より、シャーリーは計算が得意で、特に経費関係の書類が分かりやすかった。何しろランスロットは、そういった細かい数値を合わせることが大の苦手だからだ。
彼女が来てからというもの、毎月の予算は通りやすくなったし、経費に至っても、部下たちによる不透明な部分も明るみになり、無駄な費用を抑えることができた。