オフクロサマ
☆☆☆
8時を回ったのを確認してからふたりは公会堂を出た。
昨日の活気は嘘のように道を歩いていても誰ともすれ違うことがない。
もうみんな仕事へ出てしまったのかもしれない。
「大田さん、家にいるのかな?」
「どうかな。安喜くんは夏休み中だからいるだろうけど、大人がいないときに勝手に上がるこむのもなぁ」
そんな話をしながら大田家へ向けて歩いていると、前方から男性が走ってくるのが見えた。
最初は朝のランニングをしているのかと思った。
けれど、近づいてくるとその人がパジャマ姿だということに気がついて智香と裕貴は同時に足を止めた。
「助けて! 助けてください! ごめんなさい!」
走りながら何度も振り向き、謝罪を口にする男性。
その後ろからはお揃いのオアジャマを着た女性が追いかけてきている。
「夫婦喧嘩かな?」
こんな早朝から走り回るような喧嘩をするなんてと呆れていると、男性の目が大きく見開かれて血走っているのが見えた。
「あれって本当に夫婦喧嘩?」
それなにしては白熱しすぎなのではないか?
そう思ったときだった。
8時を回ったのを確認してからふたりは公会堂を出た。
昨日の活気は嘘のように道を歩いていても誰ともすれ違うことがない。
もうみんな仕事へ出てしまったのかもしれない。
「大田さん、家にいるのかな?」
「どうかな。安喜くんは夏休み中だからいるだろうけど、大人がいないときに勝手に上がるこむのもなぁ」
そんな話をしながら大田家へ向けて歩いていると、前方から男性が走ってくるのが見えた。
最初は朝のランニングをしているのかと思った。
けれど、近づいてくるとその人がパジャマ姿だということに気がついて智香と裕貴は同時に足を止めた。
「助けて! 助けてください! ごめんなさい!」
走りながら何度も振り向き、謝罪を口にする男性。
その後ろからはお揃いのオアジャマを着た女性が追いかけてきている。
「夫婦喧嘩かな?」
こんな早朝から走り回るような喧嘩をするなんてと呆れていると、男性の目が大きく見開かれて血走っているのが見えた。
「あれって本当に夫婦喧嘩?」
それなにしては白熱しすぎなのではないか?
そう思ったときだった。