オフクロサマ
☆☆☆
資料館に来て1時間が経過していた。
桜に聞いた自然災害について重点的に調べていると、その資料はすぐに見つかった。
「昭和10年から13年にかけてこの村では日照りと大雨が交互に続いて作物がダメになったらしい」
裕貴が資料を読み上げている。
「山の麓なら多少作物が育たなくても別の場所へ移動して入手してくることができた。でもここは山の奥だから、それすらも苦労したんだろうな」
「そうだね。それが原因で祭りができたの?」
「たぶん。でもおかしいんだ。それから先のページがないんだ」
「ページがない?」
首をかしげて本を覗き込んでみると、肝心のページが破られていることがわかった。
ふたりは怪訝そうに眉を寄せる。
前のページで作物が育たなくなり、次のページではそれに関してどう対処したかが書かれているはずだったのに……。
「他の資料も調べてみよう」
智香はそう言い、急いで席を立ったのだった。
しかし、どれだけ調べてみても祭りについては出てこなかった。
肝心な部分になるとページが破られていたり、黒いインクで塗りつぶされていたりする。
資料館に来て1時間が経過していた。
桜に聞いた自然災害について重点的に調べていると、その資料はすぐに見つかった。
「昭和10年から13年にかけてこの村では日照りと大雨が交互に続いて作物がダメになったらしい」
裕貴が資料を読み上げている。
「山の麓なら多少作物が育たなくても別の場所へ移動して入手してくることができた。でもここは山の奥だから、それすらも苦労したんだろうな」
「そうだね。それが原因で祭りができたの?」
「たぶん。でもおかしいんだ。それから先のページがないんだ」
「ページがない?」
首をかしげて本を覗き込んでみると、肝心のページが破られていることがわかった。
ふたりは怪訝そうに眉を寄せる。
前のページで作物が育たなくなり、次のページではそれに関してどう対処したかが書かれているはずだったのに……。
「他の資料も調べてみよう」
智香はそう言い、急いで席を立ったのだった。
しかし、どれだけ調べてみても祭りについては出てこなかった。
肝心な部分になるとページが破られていたり、黒いインクで塗りつぶされていたりする。