オフクロサマ
明らかに人為的なものを感じられて肌寒さがする。


「調べ物は終わりましたか?」


なんの収穫もなく資料館を出ようとしたとき、後ろからさっきの男性に声をかけられた。


男性はどこか勝ち誇った顔をしていて、ふたりは目を見交わせた。


もしかしたらこの男性が肝心な部分をすべて破り捨ててしまったのかもしれない。


ネットの記事もそのままでいいと断言したし、やはりこの村は村事態を隠そうとしているように見えてならない。


「いえ、ダメでした」


「そうですか」


ニヤついた笑みがふたりに絡みついてきて、逃げるように資料館を後にしたのだった。
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