オフクロサマ
☆☆☆
獣道が開けたのはそれから10分ほど坂道を上がってからのことだった。
狭い獣道の行き着いた先は想像以上に狭い霊園だった。
入り口にはなんの看板も立っていないし、墓というよりも大きめの石が並んでいるだけの場所。
その石はどれも苔むして緑色に変色しており、周囲の木々は今にも霊園を飲み込んでしまいそうだった。
「これがお墓?」
智香がそっと石のひとつに近づいて行った。
円でもなく四角でもなく、ただいびつな形をした石がゴロゴロと置かれている。
その前に当時は白かったと思わせる小皿が置かれていて、村人たちはここにお供えしていたのだろうということがわかった。
けれど、その小皿もひび割れ、破損し、それを直されてもいない。
もう随分と誰も足を踏み入れていない場所だということは見た目でよく理解できた。
「昔、ここの人たちが作った墓なんだろうな。今は全然使われてないみたいだけど」
裕貴も智香の横にやってきては墓を見下ろした。
なにか文字が掘られていないか、苔の一部を手で剥がして確認してみたけれど、文字を読み取ることはできなかった。
獣道が開けたのはそれから10分ほど坂道を上がってからのことだった。
狭い獣道の行き着いた先は想像以上に狭い霊園だった。
入り口にはなんの看板も立っていないし、墓というよりも大きめの石が並んでいるだけの場所。
その石はどれも苔むして緑色に変色しており、周囲の木々は今にも霊園を飲み込んでしまいそうだった。
「これがお墓?」
智香がそっと石のひとつに近づいて行った。
円でもなく四角でもなく、ただいびつな形をした石がゴロゴロと置かれている。
その前に当時は白かったと思わせる小皿が置かれていて、村人たちはここにお供えしていたのだろうということがわかった。
けれど、その小皿もひび割れ、破損し、それを直されてもいない。
もう随分と誰も足を踏み入れていない場所だということは見た目でよく理解できた。
「昔、ここの人たちが作った墓なんだろうな。今は全然使われてないみたいだけど」
裕貴も智香の横にやってきては墓を見下ろした。
なにか文字が掘られていないか、苔の一部を手で剥がして確認してみたけれど、文字を読み取ることはできなかった。