オフクロサマ
そのお墓は蔓植物に囲まれていて、まるで墓石から葉っぱが出ているように見える。
ふたりは木々の枝をかき分けてどうにか墓に近づいて行った。
一層湿っぽさを帯びて足元は腐葉土が降り積もり、一歩歩くごとに足首まで沈み込んでしまいそうな感覚がある。
ふわふわとした絨毯の上を歩いているような感覚で、下手をすれば足をとられてしまいそうだ。
どうにかこけずに石の前まで到着した智香は、石に絡みついている蔦に手を伸ばした。
普段なら素手でこんなものに触れることには抵抗がある。
けれど今はそんなこと少しも気にならなかった。
なんでもいい。
小さくてもいいからなにかヒントを得たい。
その一心でブチブチと蔦を引きちぎっていく。
「なにか文字が書かれてるな」
半分ほど蔦を取り払ったとき、裕貴がそう言った。
確認してみると、たしかに石になにか文字が掘られているのがわかる。
けれど長年の汚れのせいで文字はほとんど埋もれて読めない状態だ。
「仕方ない。水で流してみるか」
裕貴は持ってきたペットボトルを取り出して、半分残っている水を石にかけた。
ふたりは木々の枝をかき分けてどうにか墓に近づいて行った。
一層湿っぽさを帯びて足元は腐葉土が降り積もり、一歩歩くごとに足首まで沈み込んでしまいそうな感覚がある。
ふわふわとした絨毯の上を歩いているような感覚で、下手をすれば足をとられてしまいそうだ。
どうにかこけずに石の前まで到着した智香は、石に絡みついている蔦に手を伸ばした。
普段なら素手でこんなものに触れることには抵抗がある。
けれど今はそんなこと少しも気にならなかった。
なんでもいい。
小さくてもいいからなにかヒントを得たい。
その一心でブチブチと蔦を引きちぎっていく。
「なにか文字が書かれてるな」
半分ほど蔦を取り払ったとき、裕貴がそう言った。
確認してみると、たしかに石になにか文字が掘られているのがわかる。
けれど長年の汚れのせいで文字はほとんど埋もれて読めない状態だ。
「仕方ない。水で流してみるか」
裕貴は持ってきたペットボトルを取り出して、半分残っている水を石にかけた。