オフクロサマ
自分は裕貴と一緒に男子更衣室へ入ることができるから、特別な気持ちでいるんだろう。


少し調子に乗ってきている陽太を気にしつつ、智香は女子更衣室へと向かった。


たくさんロッカーが並んでいるが、着替えをしているのはたった3人だけだった。


人数が少ないせいか誰も自身の体を隠そうとせず、真っ裸だ。


智香はできるだけ奥まで移動してロッカーを選んだ。


遊び用の大きなプールではないため、鏡やドライヤーは完備されていない。


大きな荷物の中には水着の他にタオルやドライヤーといったものも一通り入れてきた。


手早く服を脱いで水色の水着に着替える。


腹部が隠れるキャミソールタイプのもので、家で何度も試着してきたから大丈夫だと自分にいいきかせた。


着替えをするのに鏡がないのは不親切だと思いながら出口へ向かうと、そこから先は少しだけ別世界になる。


子供たちの歓声が聞こえてきて、塩素の混ざった水が足元に絡みつく。


入水前に通る通路では上からシャワーが出ていて、強制的に消毒をされる。


そうしてやってきた先に、すでに陽太と裕貴はまっていた。
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