オフクロサマ
「でも、そうなるとあの祭りは村の不作が原因でできた祭りじゃないってことだよね、昭和13年の事件が原因でできた祭りで、黒い和服の男が乗り移させるのは、殺人犯ノフクロダキってことになる」


いいながら智香は頭が痛くなっていた。


消したい過去なのに、どうして祭りにしたのか。


どうして殺人鬼であるフクロダキを自分の体憑依などさせるのか。


わからないことが余計に増えてしまった。


「オフクロサマがフクロダキだとすれば、あの儀式の内容も全く違うものになってくるよな。人形の腹を割いて、食べ物を詰め込む。どういう意味になるんだろう?」


やはり、なにもかもがわからない。


これじゃ完全に降り出しに戻ったようなものだ。


余計に混乱させられる原因となった石碑の前で棒立ちになり、なにも考えられなくなる。


これから先もこの村に滞在して謎を究明することができるのなら、まだよかった。


だけど、もう時間がない。


唯と真一がいつオフクロサンに殺されるかわからないし、自分たちもいつこの村を追い出されるかわからない状況だ。


そんな中振り出しに戻るなんて……!

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