オフクロサマ
☆☆☆
それからは外の物音は水音だけが聞こえてきていた。
とても静かで虫の鳴き声すら聞こえてこない。
それは不気味なほどの静けさで、今が何時なのかわからないふたりにとっては永遠に続く暗闇のようにも感じられた。
「朝になったら誰か来るのかな」
横になりなるべく体力を消耗しないようにしながら智香がつぶやく。
隣で寝そべっている裕貴は「わからないな」と、素直に答えた。
閉じ込めている人間が生きているかどうかの確認には来るかもしれない。
だけどそれは明日ではなく明後日、明々後日、もしかしたらもっと先になるかもしれない。
自分たちが本当に死んでしまって、その死臭を周囲に撒き散らし始めたときにようやく誰かがこの扉を開けるかもしれない。
それまでは誰もここを見てみぬふりする可能性だって十分にある。
村人たちからすれば自分たちは邪魔者でしかないのだから。
「もしもここで死んだらさ……」
智香の指先が裕貴の指先に触れる。
少し熱っぽい指先が絡まりあった。
「私後悔するかも」
「……ごめん。俺のせいで」
それからは外の物音は水音だけが聞こえてきていた。
とても静かで虫の鳴き声すら聞こえてこない。
それは不気味なほどの静けさで、今が何時なのかわからないふたりにとっては永遠に続く暗闇のようにも感じられた。
「朝になったら誰か来るのかな」
横になりなるべく体力を消耗しないようにしながら智香がつぶやく。
隣で寝そべっている裕貴は「わからないな」と、素直に答えた。
閉じ込めている人間が生きているかどうかの確認には来るかもしれない。
だけどそれは明日ではなく明後日、明々後日、もしかしたらもっと先になるかもしれない。
自分たちが本当に死んでしまって、その死臭を周囲に撒き散らし始めたときにようやく誰かがこの扉を開けるかもしれない。
それまでは誰もここを見てみぬふりする可能性だって十分にある。
村人たちからすれば自分たちは邪魔者でしかないのだから。
「もしもここで死んだらさ……」
智香の指先が裕貴の指先に触れる。
少し熱っぽい指先が絡まりあった。
「私後悔するかも」
「……ごめん。俺のせいで」