オフクロサマ
この村には敵のほうが多いし、もしかしたら自分たちをさっさと殺してしまおうと目論む人だっているかもしれないのだ。
息をひそめ、外にいる相手の様子を伺う。
その相手は公会堂の前までやってくると一度足を止め、そしてまた歩き出した。
どうやら水音に気がついて水道まで移動すると、蛇口を止めたようだ。
水音すら聞こえなくなり、耳が痛くなるほどの静寂が訪れる。
あんなに苦労した水を手に入れたのに……!
裕貴は下唇を噛み締めた。
その時……「お兄ちゃん、お姉ちゃん、いるんでしょう?」
声量を絞ったその声にふたりは息を飲んで目を見交わせた。
今のは陽太くんの声だ!
「陽太くん?」
智香が声をかけると外からホッとしたような雰囲気が伝わってきた。
そして再び公会堂の前へと移動する足音。
ガチャンッと音がして扉が開かれ、その隙間から安喜くんの顔が見えた。
その目は真っ赤に充血していて、涙のあとが頬に残っている。
「安喜くん!」
ふたりは同時に扉へと駆け寄った。
「よかった、ふたりともまだ生きてたんだね」
息をひそめ、外にいる相手の様子を伺う。
その相手は公会堂の前までやってくると一度足を止め、そしてまた歩き出した。
どうやら水音に気がついて水道まで移動すると、蛇口を止めたようだ。
水音すら聞こえなくなり、耳が痛くなるほどの静寂が訪れる。
あんなに苦労した水を手に入れたのに……!
裕貴は下唇を噛み締めた。
その時……「お兄ちゃん、お姉ちゃん、いるんでしょう?」
声量を絞ったその声にふたりは息を飲んで目を見交わせた。
今のは陽太くんの声だ!
「陽太くん?」
智香が声をかけると外からホッとしたような雰囲気が伝わってきた。
そして再び公会堂の前へと移動する足音。
ガチャンッと音がして扉が開かれ、その隙間から安喜くんの顔が見えた。
その目は真っ赤に充血していて、涙のあとが頬に残っている。
「安喜くん!」
ふたりは同時に扉へと駆け寄った。
「よかった、ふたりともまだ生きてたんだね」