オフクロサマ
☆☆☆
山の麓まで行くのに少し時間が必要だった。
朝になって動き出してきた村人たちに見つかりそうになることが何度かあったからだ。
そのたびにヤブの中や建物の影に身を隠し、息を潜めてやり過ごした。
幸いにも村人たちに気が付かれることなく、ふたりは山の麓までやってくることができていた。
「ガケがどこにあるのかな?」
細い山道へ視線を向けて智香が少し不安そうな声を漏らす。
周囲は明るくなってきているけれど、山の中はっどの時間帯だろうが薄暗い。
足元もあまりよくないし、目的のガケがどこにあるのかもしわからない。
その上、今日はペットボトルの水分すら用意できていないのだ。
普通ならこんな状況で山に入ろうなんて思わない。
「わからない。とにかくあの霊園まで行ってみよう」
裕貴はそう言い、智香の前を歩き始めたのだった。
鬱蒼と茂る木々は昨日よりも更に枝を伸ばしていて、今にもふたりに掴みかかろうとしているように見えた。
一歩足を踏み出すたびに、ここから先へは行ってはいけないという警報が頭の中で鳴り響く。
しかし、ここで帰るわけにはいかなかった。
山の麓まで行くのに少し時間が必要だった。
朝になって動き出してきた村人たちに見つかりそうになることが何度かあったからだ。
そのたびにヤブの中や建物の影に身を隠し、息を潜めてやり過ごした。
幸いにも村人たちに気が付かれることなく、ふたりは山の麓までやってくることができていた。
「ガケがどこにあるのかな?」
細い山道へ視線を向けて智香が少し不安そうな声を漏らす。
周囲は明るくなってきているけれど、山の中はっどの時間帯だろうが薄暗い。
足元もあまりよくないし、目的のガケがどこにあるのかもしわからない。
その上、今日はペットボトルの水分すら用意できていないのだ。
普通ならこんな状況で山に入ろうなんて思わない。
「わからない。とにかくあの霊園まで行ってみよう」
裕貴はそう言い、智香の前を歩き始めたのだった。
鬱蒼と茂る木々は昨日よりも更に枝を伸ばしていて、今にもふたりに掴みかかろうとしているように見えた。
一歩足を踏み出すたびに、ここから先へは行ってはいけないという警報が頭の中で鳴り響く。
しかし、ここで帰るわけにはいかなかった。