オフクロサマ
現代になればそれほど大きな問題にはならない奇形かもしれないが、当時は違った。


村人たちにとってフクロダキは異様な存在であり、妖怪だった。


職を失ったフクロダキに村人たちの冷たさは加速を増した。


まるで、もうフクロダキを守る人間は誰もいないというように、今まで隠してきた感情を表すようになった。


そんなときに優しくしてくれた女性にフクロダキは恋をした。


しかし、十分大人になってからの初めての恋にどうすればいいかわからなかった。


きっと、恋愛の仕方や気持ちに伝え方なんて誰も教えてくれなかったんだろう。


気持ちを伝えることができないフクロダキは、熱い感情だけが胸の中で膨らんでいく結果となった。


例えば少しでも恋愛経験があって、自分からなにか行動を起こすことがあれば自体は変化していたかもしれない。


女性もまた不遇な環境下にいるフクロダキに同情していたのだから。


神様はきっといない。


フクロダキの熱しすぎた感情はついに結界をやぶって大爆発を起こした。


愛する人を遅い、攻撃し、そして罪人となってしまったのだから。

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