オフクロサマ
冷たい視線
智香と裕貴が両手で引っ張り出したのはフクロダキの骸骨だった。


変色していたものの、その形状は恐ろしいほど綺麗に残っている。


「あった……」


安堵感から智香がつぶやく。


勇気もまた同じ気持ちだった。


これでフクロダキをちゃんと頬むってやることができる。


これで被害はなくなるんだ。


その思いが強かった。


『はぁ……はぁ……』


骨を掘り返すことに夢中になって、いつの間にかスマホを投げ出してしまっていたことに気がついた。


慌てて土の上から取り上げて耳に当てる。


「真一、大丈夫か?」


『あぁ……生きてる』


声が震えている。


真一もまたギリギリのところだったのかもしれない。


「男はどうなった?」


『男は……いない。消えてる!』


「そうか、よかった!!」


やっぱり自分たちのしていたことは間違いじゃなかったんだ。


こうしてちゃんとフクロダキを供養してやれば済む話だったんだ。


ホッとして智香とほほえみ合う。


これでこの村の人たちも安心して暮らせるはずだ。
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