オフクロサマ
☆☆☆

さすがに何十年も前に死んだ人間の骨をすべて発掘することは難しかったが、掘り出したすべての骨は公会堂において来た。


あとはそれを見つけた村人たちがどうにかしてくれるはずだ。


とにかく、掘り出した後に真一が生き残ったことがすべてを物語っていた。


「なんか、東京が懐かしいね」


東京駅いおりたったとき智香がポツリと漏らした。


田舎の綺麗な空気はとても気持ちがよかったけれど、やっぱり自分にはここが似合っている気がする。


都会のお祭りだって大々的でとてもおもしろいと思うし。


「お姉ちゃん！」


その声に振り返ると弟の陽太が駆け寄ってきた。


今日帰ると伝えておいたから迎えに来てくれたみたいだ。


陽太の後から母親も姿を表して、裕貴は軽く頭を下げた。


「おかえりなさい」


「ただいま、陽太」


弟の頭をなでてサラサラの髪の毛に触れるとようやく帰ってきた気分になって自然と笑みがこぼれた。


「ふたりとも旅行は楽しかった？」


母親に聞かれて同時に一瞬言葉を失った。


が、もちろん本当のことは言えない。

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