オフクロサマ
今でもまだ夢を見ているような感覚に陥ることがある。


だけどあれは全部が現実だった。


岡山の廃村と言われていたミチ村へ行ったこと、そこでオフクロサマという祭りに参加し、深入りしすぎて村人たちに監禁されたこと。


まるで自分の身に起こったことだとは思えないことを経験したのだ。


「おいこれ、見てみろ！」


ふいに真一の声が聞こえて智香は我に返った。


目の前の席に座っている真一の顔が青ざめて、声が震えている。


どうしたんだろう？


そう思って真一の持っているスマホに視線を落とした。


そこにはネットニュースが表示されていて『岡山の廃村で大量殺人！？』

という見出しがつけられていた。


廃村での大量殺人という異質な組み合わせがすでに異常さを醸し出している。


裕貴と智香が目を見交わせた。


互いに言いしれぬ嫌な予感を抱いている。


ニュースは動画配信もされているようで、真一はそれを再生した。


男性ニュースキャスターが立っているのは間違いなくミチ村の入り口だった。


そこにたくさんの捜査員と村人たちが集まってきている。
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