オフクロサマ
そしてようやく好きですの一言が言えたのだ。


その告白を受けて裕貴はふたつ返事でOKした。


本当は自分から告白するつもりだったけれど、なかなか勇気が出ずに先を越されてしまったことも告白した。


それから4ヶ月たった今、学校は夏休みに突入していた。


「ふたりとも、遅いね」


テーブルの上に置いたスマホで時間を確認して智香はつぶやく。


こうしてファミレスで向かい合って座っているのは今日がデートだからではない。


友人ら4人が岡山観光から戻ってくる日なのだ。


友人の山下真弓、藤田宏、落合唯、宮崎真一の4人は夏休みに入るやいなや岡山県への旅行へ向かった。


観光するにしてもなぜ岡山だったのか気になったが、もともと古い風習や古くから伝わる伝統に興味を持っていた唯と真一のふたりが計画したものらしい。


岡山には小京都と呼ばれる美観地区や日本4大庭園のひとつ後楽園があり、その様子は古き良き時代を残している。


しかしそれらは観光地として有名で、唯と真一のふたりはすでに行ったことがあるようだった。


今回は違う。


もっともっと面白そうなところへ行くんだ。

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