オフクロサマ
驚きすぎてなんの感情もこもらない声色になってしまった。


「ふたりが死んだのは偶然じゃない。ふたりは殺されたんだ!」


ダンッ! とテーブルを拳で叩いて真一が叫ぶ。


唾を飛ばして叫ぶその姿に智香に怯えが走った。


「殺された? どういうことだよ」


裕貴が口を挟む。


真一は血走る目で裕貴を睨みつけた。


思えば真一もどこかおかしい。


みんな、旅行から戻ってきてからなにかがおかしくなってしまっている。


「祭りに行ったんだ。祭りの祟りだ」


「祭りって岡山のお祭りだな? 4人で旅行に行った」


裕貴の質問に唯が何度も頷く。


「祟りってなに? お祭りが原因で死んだってこと?」


智香からの質問に唯はガタガタと震えだす。


そして呪文のように「行くんじゃなかった。行くんじゃなかったあんなお祭り」と、繰り返す。


「だから俺たちもきっと死ぬ。殺されるんだ!」
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