オフクロサマ
☆☆☆

ファミレスで会話したときの唯と真一は明らかに混乱していた。


だから岡山のお祭り、祟ということ以外に詳しい情報を聞き出すことはできなかった。


けれど、ふたりがあれだけ怯えるのにはなにか原因があるはずだった。


「やっぱり、旅先でなにかあったんだね」


翌日智香の家には裕貴が来ていた。


だけど今日は遊ぶためじゃない。


唯と真一のことが気になって、ふたりで相談するために集まったのだ。


裕貴を見た陽太はまた遊んでもらえると喜んだけれど、今日はパートが休みの母親が面倒を見てくれている。


「岡山のお祭りで有名なのは『うらじゃ』。派手な化粧をして踊りを踊るお祭りだって」


スマホで岡山の祭りについて検索した智香が言う。


「知ってる。『うらじゃ』っていうのは『温羅』から来てるんだよな。


『温羅』は『鬼』のことを指しているらしいから、真弓と宏は鬼に殺されたってことか?」


「だけどお祭りはお祭りだよね。それで殺されるなんてありえないよ」


それにふたりはなにかに追われていたようだけれど、なにに追われていたのかわからないと言う。

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