オフクロサマ
「もちろん。お母さんたちもお土産楽しみにしててね」


「無理はしなくていいのよ?」


「わかってる」


軽く手を振り玄関を出ると外はよく晴れていた。


今日から始まる旅行を歓迎してくれているようにも見えるし、あざ笑っているかのように見える。


約束場所の駅に到着するとすでに裕貴は来ていた。


「ごめん待たせた?」


「俺も今来たところだから」


ふたり肩を並べて改札をくぐり、新幹線乗り場へと向かう。


岡山まではバスも通っているけれど、観光をしにいくのではないからそこまでのんびりしている暇はなかった。


幸いにもお小遣いをためてきたので交通費と宿泊代くらいは出せる。


「岡山についたらまず最初にどうする?」


新幹線の自由席に座り、ホッと息を吐き出したところで智香に聞かれた。


智香も裕貴も気持ちばかりが先走っていて、この岡山行きも昨日の間にあっという間に決まったことだった。


「とにかくゴーサマについて調べてみないとな」


昨日ザッと調べたところによるとそれは岡山で開催されているお祭りらしい。


だけどこれに真弓や宏たちが参加していたとは考えにくい。

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