オフクロサマ
真一が出発前に目をキラキラと輝かせていたことを思い出した。


どんなところに行くのか質問しても、見事にはぐらかされてしまった。


帰ってきたときのお楽しみだと言って、夜行バスに乗り込んで行った。


そして今日、その4人が帰ってくるのだ。


一体どんな話を聞かせてくれるのか、ふたりはうきうきしながら4人の到着を待っていた。


勇気がコーラをすべて飲み干した時、ふたりのテーブルに近づいてくる人影があった。


4人の影はふたりのテーブルの横でピッタリ立ち止まる。


「おぉ、お前ら戻ってきたのか!」


声を上げたのは勇気だった。


「ちょっと、来る前に連絡くれればよかったのに」


智香も嬉しそうに言って友人4人を座るように促した。


ソファ席の8人がけスペースはすぐに埋まってしまう。


数日間と言えど会えなかった期間があるため、智香と裕貴の胸には嬉しさが広がり自然と笑顔が溢れる。


しかし、一方の4人は神妙な面持ちで黙りこくり、にこりとも笑わない。


「ねぇ、どうかしたの?」


さすがに心配になって智香が隣に座る真弓に聞いた。
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