オフクロサマ
大きな広場に数々ので店が並んでいて、にぎやかな音楽が聞こえてくる。


「あれが護法祭？」


「そうみたいだな」


広場の入り口には護法祭と書かれた看板も立っていて、人の数が格段に増えてきている。


「イメージと全然違うね」


広場の中に足を踏み入れてみるとステージ上では見知らぬアイドルが歌い、踊り、出店の間を子どもたちが走り回っている。


どこにでもあるお祭り風景に思わず呆然としてしまう。


「ゴーサマなんて本当にいるのかな？」


裕貴も怪訝そうな表情を浮かべて周囲を見回した。


調べたところによるとゴーサマは白装束を身にまとった男性らしい。


しかし、広場の中にそんな男性の姿は見当たらない。


あの情報はデマだったんだろうか。


広場の中を歩き回っていると総合案内所というテントを見つけた。


そこでは護法祭だけではなく近隣のイベントのチラシなどが配られ、奥ではけが人や迷子の保護も行っている。


「あの、すみません」


案内所にいた年配の男性に裕貴が話かけた。


「はい。こんにちは」


男性は目元にシワを寄せて愛想よく微笑む。
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