オフクロサマ
「護法祭のことで質問があるんですが……」


地元の人からすれば3年以内に死ぬといった噂については聞きたくないはずだ。


そう考えた裕貴はゴーサマはいつ出てくるのかということだけ質問をした。


「それなら今晩ですよ。14日の夜から15日の明朝にかけて行われます」


「そうだったんですね」


それなら今ゴーサマがいなくてもふしぎではなかった。


また夜に出直すことになりそうだけれど、それまでどうするかが問題だった。


いい加減荷物も重たくて腕が痛くなってきた。


「この辺に泊まれる場所とかはありませんか?」


智香の質問に男性はまっていましたとばかりに宿のパンフレットを差し出してきた。


ふたりが大きな荷物を持っているので、旅行者だということはバレていたようだ。


「まだ宿泊先を決めていなかったんですね。それならこの付近に泊まれる場所がいくつかありますよ」


男性が教えてくれたのはどれも民泊で、素泊まりで3000円という格安なホテルまであった。


ふたりの見た目から判断して選んでくれたらしいことが伺える。

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