オフクロサマ
☆☆☆

民泊から広場へ移動している間に太鼓の低い音が聞こえてきた。


それは腹に響くような音でズンッと重たく感じられる。


夜になっても空気は熱いままだけれど、その音を聞いていると薄ら寒くなってきた。


「これがゴーサマか」


広場の入口で立ち止まり、裕貴がつぶやく。


いくつもの松明が焚かれて広場をオレンジ色に浮かび上がられせている。


客たちはみんな広間の周囲を取り囲むように立っていて、中央には白い和服を来た男性がひとりいた。


あれが村人から選ばれたゴーサマだ。


ゴーサマにか神様が乗り移り、村の様子を調べ始める。


それを邪魔した人間は……３年後に死ぬ。


客の中には自分たちと同じ観光客の姿もあり、なんにんかが珍しげにカメラを向けている。


撮影するのは構わないようだ。


勇気もスマホを取り出してゴーサマの様子を撮影し始めた。


なにか手がかりになることがあるかもしれない。


少しも取り逃がさないように、ビデオ撮影にしてある。


やがてゴーサマのお遊びが始まった。
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