オフクロサマ
「綺麗だな」


裕貴も小川の前で立ち止まってつぶやく。


「そうだよね。ここが廃村だなんて信じられない」


しゃがみこんで片手を水につけてみるとキンと冷たい。


今の智香にはちょうどよくてしばらくそのまま手をつけておいた。


「もう少し奥に行ってみよう。民家とか、残ってるかもしれない」


「うん、そうだね」


目的地が見つかった安堵感と、冷たい水に触れて気分が変わったことでふたりは再び歩き出したのだった。
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