オフクロサマ
その目的をすべて打ち明けるためには真弓たちの不審死のことまで離さないといけなくななってしまう。


「この村の祭りは7日間あるんだよ!」


無邪気に言ったのは安喜くんだ。


安喜くんはオレンジジュースの入ったグラスを片手に持って得意げな表情をしている。


自分の村に関心を持つ人がここにいて、色々と教えて欲しがっていることが嬉しいのかもしれない。


「そんなに続くんだ?」


智香が目を見開いて聞き返すと安喜くんは更に胸を反らせた。


「そうだよ! 今日が最終日なんだ! お姉ちゃんたちギリギリだったね!」


夏休み中に一週間続けて行われるのなら、ここのお祭りに真弓たちが参加した可能性は格段に増える。


智香と裕貴は鼓動が高鳴るのを感じていた。


「その、歴史好きな友人はここには来ないのかい?」


太田さんからの質問に智香と裕貴は目を見交わせた。


ここまでくればもういいだろう。


祭りについて隠している様子もないし、唯たちの事を話してみよう。


「その友人は少し前にここに訪れたかもしれないんです」


裕貴はそう言いながらスマホを操作した。
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