オフクロサマ
「もちろん。でも今日寝る場所がないからそれを先に見つけないといけないんだ」


裕貴が言うと安喜くんが嬉しそうな顔になって「それなら家に泊まればいいのに」と言った。


どうやら裕貴と智香のことをとても気に入ってくれたみたいだ。


「そうなると嬉しいけど、でもお父さんがなんて言うかな？」


友香の言葉に安喜くんは少し残念そうな顔になった。


どうやら家に泊まることはできなさそうだ。


それほど大きな家でもないし、客人が突然ふたりも泊まることになったら大変に決まっている。


ここは無理を通さない方がよさそうだ。


「ごめん、おまたせ」


廊下で電話をしていた大田さんが戻ってくるとその顔は晴れやかだった。


「今、村の長に連絡してきたんだ。どこか泊まれる場所がないかって」


長とは、町長さんみたいな人のことらしい。


この村を仕切っている８０代の男性に連絡をとってくれたのだ。


「そしたら、公会堂を使えばいいって言ってもらえたよ」


「公会堂ですか？」


智香たちの地元にも公会堂はある。

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