オフクロサマ
そう言って少し大きな袋を差し出してきた。


その中を除くとキツネのお面がふたつ入っている。


「これ、私達のために買ってきてくれたの?」


「ううん。ここのお祭りはみんなお面をつけて参加するんだよ。だから、家にはたくさんのお面があるんだ」


「そうなんだ」


お面をつけて参加するお祭りなんて珍しい。


まるで仮面武道会みたいだ。


智香はそう思いながら紙袋からキツネのお面を取り出した。


ためしに顔に当ててみると視界は思ったよりも良好そうだ。


「へぇ、お面かぁ」


後ろから裕貴も物珍しそうにキツネのお面を見つめている。


「早く行こうよ!」


安喜くんに手をひかれて、ふたりはお祭りのある広場へと向かったのだった。
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