オフクロサマ
☆☆☆

「お祭りの日は会社もみんなおやすみするんだ」


広場へ到着するまでに安喜くんが教えてくれた通り、会場にはたくさんの人たちが集まってきていた。


小さな集落だと言っても100人以上はいるようだ。


仮面をつけた小さな子どもたちの姿もある。


「すごいな」


想像以上に大きな祭りで裕貴は圧巻されているようだ。


「僕お父さんからお小遣いをもらってきたんだ! イチゴ飴が食べたい!」


「それじゃ屋台を見て回ろうか」


安喜くんに引っ張られながら広場を歩くと屋台の数も少なくない。


イチゴ飴にフランクフルトにフライドポテト。


3人はそれぞれ好きなものを購入して、端に設置されている木製のベンチに腰をおろした。


智香はバナナチョコのクレープを選んでいて、一口食べると甘さにとろけそうになった。


疲れているときには甘いものが一番美味しく感じられる。


「お面をつけてない人もいるんだね」


行き交う人々を見ているとお面を手に持っていたり、サングラスのように頭にかけていたりする人も多い。
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