アイドルに恋した日
コンコン


控室に戻り荷物をまとめているとノックされた。

「はい?」


「今、入ってもいい?」

龍さんの声に少し戸惑う。


「あ、はい。大丈夫です。」

「今日はありがとうね。急なのに来てくれて。本当に助かったよ」


龍さんのお力になれたなら、、、

嬉しさがこみ上げてくる。


「でも、豹との撮影には嫉妬したなー、、、。」


確かに豹さんとの撮影は私も驚いた。

どんどん近づく豹さんの顔。

流石、アイドルと感じるビジュアルに少しドキドキしてしまったのも、無理はない。


「何あれは、監督からの指示だったの?」


少し、不機嫌そうに聞いてくる龍さんに戸惑う。



「あれは、俺からの指示というか俺がしたって感じかな?

ね?愛美ちゃん?」


龍さんからの後ろには撮影を終えたばかりなのか、

衣装のままの豹さんが立っていた。


「お前、愛美ちゃんが初めての撮影って知ってるよな?なのに、、、」


やばい、喧嘩が始まりそう、、、。


焦る私を助けるかのようにノックオンが部屋に響く。


「はーい、どーぞ」


「あ、いた。次の現場もあるのよ!早く準備して頂戴?」

どうやらマネージャーさんが龍さんと豹さんの声に気づき呼びに来たようだ。

マネージャーさんに救われ、2人は控室に帰っていた。


「西野さん今日は本当にありがとね。おかげで予定通りスケジュールが進んだわ。」


「いえ、私でよければいつでも」


「フフ、ありがとう。気をつけて帰ってね」


優しいマネージャーさん。

私が帰る頃にはもう2人はいなかった。
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