ゆめものがたり

夢物語

バク「君が信じないのなら、それもいい。所詮、今宵限りの夢物語。ならば、夢と割切っておじいちゃんとおばあちゃんに甘えてみたらいいんじゃないかな?」

ひろの目にじわりと涙がにじむ。

ひろ「…おじいちゃん、いつも難しい漢字教えてくれてありがとう。おじいちゃん物知りだよね。何でも知ってるおじいちゃん。ずっと好きだったよ」

おじいちゃんは優しく微笑む。

ひろ「おばあちゃん。いつも優しくしてくれてありがとう。イケない事、ちゃんと怒ってくれてありがとう」

おばあちゃん「優しいのは当たり前です」

みんなでどっと笑う。

ひろ「二人とも元気そうで良かった。今はどうしているの?」

おばあちゃん「私達はお空の上にいるよ」

ひろ「お空は楽しい?」

おばあちゃんは首を振り

おばあちゃん「つまらない。何にもできないから」

ひろ「おばあちゃん。僕、お空から見える?」

おばあちゃん「見えるよ。ひろはなんだかんだ言って、やることやっているよね。ひろがすっごく努力している事、おばあちゃん知ってるよ」

ひろ「ありがとう」

ひろは顔をほころばせた。

ひろ「バクさん。さっきはごめんなさい」

バクは笑顔で手を振った。

ひろ「あの、一つ頼みがあるんだけど」

バク「なんだい?」

ひろ「僕、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒に旅行がしたい」

バク「旅行?いいよー」

バクがパチンと左手の指を鳴らす。

ひろ達は夕暮れの海岸にいた。

海の少し向こうに島が見える。

※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。
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