ゆめものがたり

平和な空間

しばらく、みんなで恐竜野球を観戦していたが、ひろはサッカーの方が好きだった。

ひろ「ねえ、もう行こうよー」

おじいちゃん「もうちょっとだけ。もうちょっとだけ」

ひろは思わず、ため息をついた。

途端、体が重くなり、ぐるぐると右回りにきりもみしながら、下へと落ちていく。

ぼっちゃん

ひろは海の底へと沈んでいく。

ひろ「あれ、痛くも苦しくもない」

ひろの周りを魚の群れが守るように左回りに旋回している。

しばらくして海の底に着く。

バク「おーい」

おじいちゃん・おばあちゃん「ひろ」

みんなもやって来た。

魚達は役目を終えたと言わんばかりに、旋回するのをやめる。

そして先導するように前方へと泳いでいく。

ひろ「バクさん」

バク「何だい?」

ひろ「僕、スキューバダイビングするのが夢だったんだ。小さいころ、一度だけおばあちゃ

ん達とスキューバダイビングのできる沖縄のツアーに申し込んだんだけど…」

バク「台風で中止になったんだよね」

ひろ「うん」

バク「どうだい、海の中は」

ひろ「想像していたのと違うけど、新鮮で不思議な空間だね。海の中って、思った以上に魚がいるんだね」

バク「ここは魚達の楽園だからね。誰にも傷つけられない。平和な空間。だからどんどん増えるのさ」

ひろ「平和っていいね」

バク「そうだね。平和っていいよね」

バクはうんうん頷いた。

※この話は全てフィクションであり、実在の人物や団体などとは一切、関係ありません。
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