幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
Ⅷ
会社で疲れた顔をしていたのだろう。昼休み、葉月に心配された。
「何かあった?」
「……昨日、告白した。」
「え?……やっとか。それで?」
「……兄と思って欲しかったみたい。」
「みたいって?きちんと付き合えないとか言われた?」
「ううん。そこまでは。……最後まで聞いてられなかった。」
「また、早とちりじゃないの?緑は思い込みが激しいからねー。それだから、今までも告白せずに自分でダメだと思ってたじゃん。」
私は、社食のうどんを箸でぐるぐる回して見てるうちに奏ちゃんのメモを思い出した。
「……そうかな。連絡くれって今朝メモもらった。」
「ほらね。落ち着いてもう一度最後まで逃げずに話すこと。分かったかな?」
「……今日、木下さんと会う約束してるから。」
「だから?関係ないでしょ。優先はどっち?」
「……うん。そうだね。」
社食に木下さんが入ってきて、キョロキョロしてる。
私と目が合うと真っ直ぐに向かって来た。
「ごめん、食事中。榊さんの見積もり、水木さんが篠原さんに渡したというんだけどある?ちょっと待ち合わせ時間早まってさ。」
「あ、はい。チェックは済んでるので、印刷するだけです。すぐ、戻って出しますね。」
「悪い、頼むわ。」