幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
そうこうするうちに、結婚が決まってしまい、お兄ちゃんの事務所へ行ったときに切り出されてしまったみたい。
まさか、お兄ちゃんも私がまだ言ってないとは知らず、かなり焦ったみたい。
勇み足もいいとこだよ。
とはいえ、私は楽になった。
聞かれたことに答えて謝り倒すしか道は無くなった。
今日は、その木下さんとのランチ。
お酒抜きだから、昼にした。
木下さんの希望で。
酒入るとろくなこと言わないからと……。
「公園で会った時、殺気がすごくてね。一瞬で理解したよ。」
「私は驚きました。フラれたと思って泣いたくらいですから。」
「あの日、目が腫れてたのはそのせいだったんだね。素子から、少し聞いたよ。あいつも、本当タイミング悪い。兄弟揃ってとか、笑えるよ。」
何も言えなかった。本当にこんなことあるんだなと思う。
「篠原さんも、片想いしてた割に、僕にもちょっとは揺らいでたよね?」
「はい。諦めかけてましたから。木下さんは私にはもったいないイケメンです。顔も性格も。」
「……ったくもう、略奪するぞ、そんなこと言うなら。」
ふたりで、笑いながらおかずを食べる。
「これからも、先輩、仕事よろしくお願いします。」
「何かあれば、相談乗るよ。僕に新しい人が出来るまで。」
また、冗談言って私に優しくしてくれる。
「妹も、近いうちにバイト辞めるから許してやって。」
「そんな、私には何の権限もありません。」
「あいつも、さすがに居づらいだろうし。結婚はいつになるの?」
「式は三カ月後を目指してます。兄嫁が安定期の五ヶ月頃にやってあげたいので。」
「無茶言うよな。」
「実は籍を先に入れて、同居します。実家は隣なんで、あんまり変わらないですけど。」
「あの人、囲い込み方本当怖い。大丈夫?籠の鳥になりそうじゃん。」
「そうですねー、意外でした。新たな一面にビックリです。」
じっと彼が私を見つめる。
「……君のこと本気だった。何かあればまだいくらでも僕は待ってるから。」