幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
 正面突破だ!

 カランカラン~

 店の入り口から入る。
 驚いた顔をした奏ちゃんが私を凝視してる。ほらみろ、ふん。
 すると、美しい黒髪の人が振り向いた。……び、美人。勝てないわ、こりゃ。

 「あ、緑ちゃんじゃん、今日は店に出るの?来て良かったー。」
 「ホントだ、緑ちゃん、土日以外も出るの?こっちおいでよ、今日は羽村も来てるんだよー。」

 商店街のメンバーが奥の常連席から大きな声で私を手招きする。
 どうしてこーなるの?大きくため息をつくと、とりあえずそちらに向かう。

 「皆さん、いらっしゃい。いつもごひいきいただきすみません。」
 「やー、今日は緑ちゃんと会えるなんてラッキーだ。コーヒーだけにしようと思ったけど、ホットサンドも食べていこうかな。緑ちゃんちょっとお話ししようよ。」
 「え、えーと……。」

 「……緑。」低い声が後ろからする。
 店の中がシーンとなって、振り向いた私をみんなが見てる。
 「こっち来い。」……怖い。まずい、怒ってる。え?私が怒ってるんじゃなかったっけ?

 立ち上がった美人がにっこりとこちらを向く。
 「初めまして。私、仕事の打ち合わせでこちらに来ております。春田すみれと申します。」
 ……何か、名前も綺麗な人ね。
 「は、初めまして。森川緑です。いつもごひいきいただきありがとうございます。」
 奏ちゃんが小さい声で「いつもって……」と言う。

 
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