幼馴染みの鍵が開いた瞬間から溺愛が止まらない
Ⅱ
「久しぶりだな、緑。元気か?」
「うん。元気だよ、見ての通り。」
「嘘つけ。何だその顔。むくんでるぞ。老けたのか、それとも。」
「ちょっと、二日酔いなんですよ。大人ですからね。いろいろあるんだよ―だ。」
「緑ちゃん、大丈夫?無理に起きてきたの?休んでていいよ。お仕事忙しいの?」
大きな目をクルクルしてこちらを覗き込む唯さん。お兄のお嫁さん。
相変わらずきれいだな。お兄にはもったいない。同級生から結婚なんて、小説みたい。うらやましい。
コーヒーをお盆に乗せて、奏ちゃんがやってきた。
「緑は、最近はあんまり飲み過ぎてなかったみたいだけど、今日はひどいな。」
失礼な。みんなして、私をひどい顔星人みたいに言ってるし。
誰のせいだと思ってるのよ。奏ちゃんをにらみ返した。
「奏、店はどうだ?彼女できたか?その様子じゃ、まだだめそうだな。」
「青、店以外も心配ご無用だ。何しにきた?全く。」
「緑も、彼氏はできたか?その様子じゃお前もだめそうだな。」
「何かあっても、お兄には教えません。残念でした、また来てね。」
ちょっと、ちょっと、と唯さんが、私に手招きしてる。
何々?奏ちゃんとお兄が話し出したので、二人で、裏側の席に移動する。