Lies and Truth
「突然お邪魔しちゃったのに、ほんとにいいんですか?」
これには優陽も少し戸惑っているらしい。
「もちろん大歓迎よ。うちは女ふたり暮らしだから、たまには賑やかに食卓を囲みたいのよ。ねっ? 緋莉」
「うん、でも優陽のお家の都合もあるし、どうかな……ははっ」
乾いた笑いで誤魔化してみたものの、本音を言えばわたしは少し期待している。これを機に優陽とお母さんが仲良くなってくれたら素敵だなと思う。
「そうねえ……言われてみれば、そろそろお家でも準備されてる頃かしら? だとしたら無理にお誘いは出来ないわね」
そう言いながらお母さんは肩を落としている。わたしの彼氏なのに、なんだかお母さんのほうが残念がっているように見えておかしい。
「いえ、大丈夫です。せっかくだからご馳走になりますね」
「あら、いいの? うれしいわ。それじゃ後でゆっくりお話しましょ。準備が出来たら呼びにくるから」
パッと花が咲いたように明るい笑顔を見せたお母さんがそう言い残して部屋をあとにすると、優陽に小さな声で「……いいの?」と再び確認を取る。
「特に断る理由なんてないしな。それに緋莉のお母さんにも俺のことをよく知っておいてもらいたいんだ。そのほうが安心できるだろ?」
まだ付き合って二日目なのに、優陽がそこまで考えてくれてるなんて……。
言葉の端々から優陽の誠実さが滲み出ているように思えて、わたしの胸はどきどきうるさいくらいに音を鳴らし続けていた。