Lies and Truth
わたしは優陽のプレゼントにネクタイを選んでいた。娘が父の日にネクタイを選ぶというのはよく耳にするけれど、わたしは別の意味を込めて、優陽にこれを渡したかったのだ。
「女が男にネクタイをプレゼントするのはね、ちゃんと意味があるんだよ。知ってる?」
涙を拭ってくるりと振り返り、笑顔で優陽に問いかけた。
「へぇ、知らなかったな。どんな意味があるの?」
優陽は照れ臭そうにはにかんでいた。その顔がかわいくてたまらなくて、わたしは少し意地悪をしたくなる。
「おしえなーい!」
「なんでだよ、おしえろよ!」
わたしは優陽にべえっと舌を出すと、桜が舞う公園を駆け出した。
そんなわたしを優陽が追いかける。