Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~
『ねぇ、ジロウくぅん。聞いてみたいことあるんだけど、いいかなぁ…?』
『ん…?聞きたいこと?』
モトコはジロウに言った。
ジロウは本から目を離し、モトコが座っている椅子の方を見た。
『まだ時間はあるよねぇ?』
『そうだな。モトコの言う通り、時間だけはあるな!』
『じゃあ、聞くよぉ…?』
『なんだよ、かしこまって。ちょっと怖いな。』
苦笑いをしたジロウは、開いていた本を閉じた。
そして、モトコが座っている椅子の前に置いてある椅子に座り直した。
先程まで、ミツバとツクシが座っていた場所だ。
そんな彼の様子を見て、申し訳ないとモトコは思った。
しかし、いつかは聞きたいと思っていながら、タイミングを逃していたモトコにとって、今がチャンスだった。
それに今日のモトコは、ミツバ関係の出来事で、妙なテンションの上がり方をしていた。
彼女に躊躇いは無かった。
モトコはできる限りの落ち着いた声で、ジロウに尋ねた。
『なんで、ジンくんのことは止めなかったのぉ…?』
『…!』
『自分はちゃんと選んだのに。リナちゃんをちゃんと振ったのに。』
『それは…。』
『誤解しないで欲しいんだけどねぇ。ジロウくんのことを責めたい訳じゃないよぉ?ただ、ずっと聞いてみたかったんだよぉ。』
『…モトコが他人を責めるような奴じゃないってことくらいは知ってるよ。』
『ジンくんを止めるとしたら、ジロウくんしかいなかったはずだよぉ。それに、シオリちゃんとは去年のクラスメイトだよねぇ?』
『…そうだな。』
『私も知ってるんだよぉ。ジロウくんが誰かを傷つけることに、加担するような人じゃないって。』
しばらくの間、2人の間に沈黙が訪れた。
モトコは、腕組みをし始めたジロウを見つめながら、ただ待った。
やがて、ジロウは口を開いた。
『…理由は2つあるんだ。』
『うん…。』
『ひとつは、単純にジンを応援したかったってだけ。一応、忠告はした。でも、普段の俺だったらもっと強く反対する。』
『そうだねぇ…。』
『シオリさんとは面識はあるけど、仲が良いって訳じゃなかったから。シオリさんの味方ではなかった。』
『うん…。』
『もうひとつの理由は…。ジンには言えなかったけど、俺が出来なかったことを実現できるような気がしたから…。だから、最後は後押しをしてしまった。』
『実現…?ってことは、ジロウくんは今でもリナちゃんのこともぉ…?』
『…そういう訳じゃない。』
『だよねぇ、ごめんねぇ…。』
『いや…、そういう訳じゃないこともないか。でも、今の俺の、リカに対する気持ちに嘘は無い。』
『うん…。』
『時々考えるんだよ。ジンには…。なんて言うべきだったのか。俺にはもう、分からない。』
『別に、ジロウくんが悪いことした訳じゃないよぉ…。』
『…。』
無言になってしまったジロウを見て、モトコはもう話を切り上げた方が良いと判断した。
モトコとしては、ジロウを苦しめたい訳ではない。
ただ、ジロウを信じたいと思っていただけだった。
『…ありがとねぇ。話しづらいコト、話してくれてぇ…。』
『モトコにはいずれ説明するべきだと思ってたから。リナさんのことも考えると、説明するべきだって。』
ジロウのまっすぐな目を見て、モトコは椅子から立ち上がった。
そして、通学用の鞄を手に取った。
『…私はジロウくんのことも応援してるよぉ。』
『学園の恋愛コンサルタントさんにそう言って貰えると、心強いな。』
『…もう今日は帰るねぇ。じゃあねぇ。』
『おう、また来週。』
モトコは教室を出た。
廊下を歩きながら、モトコはひとつだけ決心をした。
もし、ミツバがデートの後も迷って、おかしな方向に進みそうなら…。
絶対に止めよう、と。
『ん…?聞きたいこと?』
モトコはジロウに言った。
ジロウは本から目を離し、モトコが座っている椅子の方を見た。
『まだ時間はあるよねぇ?』
『そうだな。モトコの言う通り、時間だけはあるな!』
『じゃあ、聞くよぉ…?』
『なんだよ、かしこまって。ちょっと怖いな。』
苦笑いをしたジロウは、開いていた本を閉じた。
そして、モトコが座っている椅子の前に置いてある椅子に座り直した。
先程まで、ミツバとツクシが座っていた場所だ。
そんな彼の様子を見て、申し訳ないとモトコは思った。
しかし、いつかは聞きたいと思っていながら、タイミングを逃していたモトコにとって、今がチャンスだった。
それに今日のモトコは、ミツバ関係の出来事で、妙なテンションの上がり方をしていた。
彼女に躊躇いは無かった。
モトコはできる限りの落ち着いた声で、ジロウに尋ねた。
『なんで、ジンくんのことは止めなかったのぉ…?』
『…!』
『自分はちゃんと選んだのに。リナちゃんをちゃんと振ったのに。』
『それは…。』
『誤解しないで欲しいんだけどねぇ。ジロウくんのことを責めたい訳じゃないよぉ?ただ、ずっと聞いてみたかったんだよぉ。』
『…モトコが他人を責めるような奴じゃないってことくらいは知ってるよ。』
『ジンくんを止めるとしたら、ジロウくんしかいなかったはずだよぉ。それに、シオリちゃんとは去年のクラスメイトだよねぇ?』
『…そうだな。』
『私も知ってるんだよぉ。ジロウくんが誰かを傷つけることに、加担するような人じゃないって。』
しばらくの間、2人の間に沈黙が訪れた。
モトコは、腕組みをし始めたジロウを見つめながら、ただ待った。
やがて、ジロウは口を開いた。
『…理由は2つあるんだ。』
『うん…。』
『ひとつは、単純にジンを応援したかったってだけ。一応、忠告はした。でも、普段の俺だったらもっと強く反対する。』
『そうだねぇ…。』
『シオリさんとは面識はあるけど、仲が良いって訳じゃなかったから。シオリさんの味方ではなかった。』
『うん…。』
『もうひとつの理由は…。ジンには言えなかったけど、俺が出来なかったことを実現できるような気がしたから…。だから、最後は後押しをしてしまった。』
『実現…?ってことは、ジロウくんは今でもリナちゃんのこともぉ…?』
『…そういう訳じゃない。』
『だよねぇ、ごめんねぇ…。』
『いや…、そういう訳じゃないこともないか。でも、今の俺の、リカに対する気持ちに嘘は無い。』
『うん…。』
『時々考えるんだよ。ジンには…。なんて言うべきだったのか。俺にはもう、分からない。』
『別に、ジロウくんが悪いことした訳じゃないよぉ…。』
『…。』
無言になってしまったジロウを見て、モトコはもう話を切り上げた方が良いと判断した。
モトコとしては、ジロウを苦しめたい訳ではない。
ただ、ジロウを信じたいと思っていただけだった。
『…ありがとねぇ。話しづらいコト、話してくれてぇ…。』
『モトコにはいずれ説明するべきだと思ってたから。リナさんのことも考えると、説明するべきだって。』
ジロウのまっすぐな目を見て、モトコは椅子から立ち上がった。
そして、通学用の鞄を手に取った。
『…私はジロウくんのことも応援してるよぉ。』
『学園の恋愛コンサルタントさんにそう言って貰えると、心強いな。』
『…もう今日は帰るねぇ。じゃあねぇ。』
『おう、また来週。』
モトコは教室を出た。
廊下を歩きながら、モトコはひとつだけ決心をした。
もし、ミツバがデートの後も迷って、おかしな方向に進みそうなら…。
絶対に止めよう、と。