Triangle Love 7 ~ 揺れる心は夏の蝶 ~
園内を隅々まで周った。

気がついたら夜になっていた。

でも、閉園時間まではまだ余裕がある。

最後は観覧車に乗りたい、ってヨウが言った。

今日はまだ乗っていなかったから、あたしも乗りたいと思った。

観覧車乗り場に並んだ。

その間、あたし達はなんとなく無言だった。

一日中遊んだ、その疲れのせいかもしれない。

って、思うことにした。

しばらくの間、黙って並んでいた。

『お次の方どうぞー。』

係の人が、あたし達に向かってそう言った。

乗る順番がやって来た。

『やっと来たね。』

『そうだな。』

あたし達は観覧車に乗り込んだ。

それぞれの席に座った。

そして、ゆっくりと回りだした。

少しずつ、地上から離れていく。

観覧車が空に近づいていく様子に、ワクワクした。

『すごいね!結構揺れる!』

『すごいな!』

しばらくして、観覧車は一番高い所まで来た。

あたしの真下には、遊園地の全体が広がっている。

正面を向くと、夜景や海も見えた。

『綺麗だね…。』

景色をぼんやりと眺めているあたしに、ヨウが言った。

『…これ。受け取って欲しい。』

『何これ…?』

あたしはヨウから、小袋を渡された。

開けてみると、小さな箱が入っていた。

箱を開くと、中にはピアスが1セット入っていた。

クローバーの形をした、白いピアスだった。

とても綺麗だった。

『ミツバ、こういうの好きかなって。』

『嬉しいよ!ありがと!めっちゃ嬉しい!』

早速つけようかと思ったけど、足場が揺れるからやめた。

もらったピアスを良く見ると、四つ葉の形じゃなくて、三つ葉のクローバーだった。

『俺の気持ちを表現するのに、何かしたいと思ったけど。物を渡すしか出来なかった。』

『全然良いのに。嬉しいよ?』

『…ミツバが答えを出して、俺を選ばなかったとしても。それを見たら、時々思い出してくれるとありがたい。』

『…うん。あのさ。ずっとごめんね。数ヶ月くらい、ずっと一緒に帰ってくれたよね?でも、あたし…。』

『最初に言ったけど、今日は謝るの無し。そうだろ?』

ヨウは少し怒ったように言った。

この人も、変わらない優しさを、何度も向けてくれる。

泣きそうになるのを堪えて、あたしは答えた。

『…そうだったね。ありがと。』

話しているうちに、観覧車は地上へ戻って来てしまった。

この後は遊園地を出るだけだから、ヨウとのデートはこれで終わりだ。
< 47 / 52 >

この作品をシェア

pagetop