魔女の瞳Ⅳ
ある夜。
公園で談笑していた桜花とジルコーの前に、四十代くらいの男が現れたのだという。
少し時代錯誤な感じの服装の…そう、言うなれば中世の貴族のような出で立ち。
柔和な表情を持つものの、その男からは明らかに、桜花やジルコーと同じ匂いがしたのだという。
即ち、ただの人間ではない、『魔性』の匂い。
当然ジルコー達は警戒し、男に素性を尋ねる。
しかし男は答えず、ただ一言、『桜花に用がある』と告げ。
「…その後は…わからねぇ」
ジルコーは視線を下げた。
「わからねぇって何だよ、歯切れが悪いな」
修内太が言う。
「本当にわからねぇんだよ。対峙していた男は、突然姿をくらました。お嬢ちゃんと共にな…小一時間ほど探したさ…だがお嬢ちゃんも男も見つからねぇ…俺の自慢の嗅覚を以ってしても、全く位置が特定できねぇ…いよいよやばいかと思っていた所へ、お嬢ちゃんが素っ裸で公園の芝生の上に倒れているのを見つけたんだ。その有様でな…」
「……」
奇怪な話だ。
桜花に重傷を負わせたのは、その男の仕業で間違いないだろう。
公園で談笑していた桜花とジルコーの前に、四十代くらいの男が現れたのだという。
少し時代錯誤な感じの服装の…そう、言うなれば中世の貴族のような出で立ち。
柔和な表情を持つものの、その男からは明らかに、桜花やジルコーと同じ匂いがしたのだという。
即ち、ただの人間ではない、『魔性』の匂い。
当然ジルコー達は警戒し、男に素性を尋ねる。
しかし男は答えず、ただ一言、『桜花に用がある』と告げ。
「…その後は…わからねぇ」
ジルコーは視線を下げた。
「わからねぇって何だよ、歯切れが悪いな」
修内太が言う。
「本当にわからねぇんだよ。対峙していた男は、突然姿をくらました。お嬢ちゃんと共にな…小一時間ほど探したさ…だがお嬢ちゃんも男も見つからねぇ…俺の自慢の嗅覚を以ってしても、全く位置が特定できねぇ…いよいよやばいかと思っていた所へ、お嬢ちゃんが素っ裸で公園の芝生の上に倒れているのを見つけたんだ。その有様でな…」
「……」
奇怪な話だ。
桜花に重傷を負わせたのは、その男の仕業で間違いないだろう。