魔女の瞳Ⅳ
ある程度のあたりはつけている。

簡単に、探している人物は見つかった。

総じて、イングランドにおける魔女の告発はあくまで散発的なものにすぎなかったが、残念ながらイングランドにも「異端審問官」が存在した。

マシュー・ホプキンスがそれである。

「魔女狩り将軍」を僭称し、1645年から47年にかけて魔女の摘発に血道をあげた法律家崩れのこの悪名高い男は、ジョン・スターンとメリー・フィリップスという男女二人の手下を引き連れて、東イングランドを中心に短期間ながら魔女狩りの恐怖時代をつくりあげた。

当時イングランドでは、たとえ魔女の嫌疑をかけられたとしても肉体を損傷させる拷問は禁じられていた。

そこでこのホプキンスという男は、精神を責め嬲る拷問を得意としていた。

全裸にして、魔女の証であるマークを全身隅々まで探す。

その姿のまま、何日も何日も放置する。

睡眠をとらせない。

睡眠を奪う事で、朦朧とさせ、己が魔女であると自白を強要させるのである。


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